仏閣の入り口で睨みをきかす仁王像や神社の入り口に座っている狛犬は聖域である境内を護るために置かれているものだ。境内に祀られている神様は、神道だろうと仏教だろうと人智を超えた存在であるのは違いない。しかし全知全能ではないので身辺警護をしてくれるものが必要なのだ。
人智を超えているというのは文字通り人間の知恵を超えているという意味で、必ずしも腕力に優れているとは限らない。確かに仏像は女性的な出立ちであることも多い。奈良の中宮寺にある国宝・菩薩半跏像もそうだ。柔和な顔にアルカイックスマイルを浮かべ、伏し目で指を口元に当てている。その姿がスーパーで食材を吟味する女性の姿と全く同じに見えるのは僕だけではないだろう。また、神道にいたってはアマテラスノミコトなどそもそも女性が多い。
つまり膂力に劣る高貴な存在を護るために、厳ついものを入り口に設置したのだ。何か邪悪なものが境内に入ろうとしても入り口で待ち構える厳ついものを見て諦めるのが理想形だ。さしずめ今の時代だったら、「監視カメラで監視中」というフレーズがそれに相当するのかもしれない。
2021年8月 静物 東京 | |
視線 狛犬 品川 神社 列車 |
No
11985
撮影年月
2021年1月
投稿日
2021年08月01日
更新日
2023年08月19日
撮影場所
品川 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
RICOH GR III