第一京浜沿いに立つ鳥居を抜けて急な階段を登り切ると、参道の先に拝殿が見えた。品川神社の拝殿だ。この神社は小高い丘の上に鎮座している。今となっては潮の香りもしないし、潮騒も聞こえない。けれど、ここはかつて海岸線のすぐ近くだったところ。境内から東京湾がよく見えたに違いない。祀られている神様も、浦賀水道の南端で海上交通の難所にある洲崎神社から勧請した航海神アマノヒリノメノミコトだ。
航海の神様が海の見えないところに祀られているのは役不足のように思えてしまう。何せ近くに海がないのだから。船着場もないし、漁労で生計を立てている人もいない。海上交通の安全のために源頼朝が勧請した神様もその実力を持て余していることだろう。
アマノヒリノメノミコトが手持ち無沙汰な分、一緒に祀られているスサノオノミコトとトヨウケビメノミコトがより多く働いてバランスを取っているのだろう。カミサマの世界は人間界よりもずっとワークシェアリングが進んでいるのだ。ひょっとしたらワークライフバランスの面でも日本より進んでいるかもしれない。
2021年7月 建築 東京 | |
境内 品川 神社 鳥居 |
No
11983
撮影年月
2021年1月
投稿日
2021年07月30日
更新日
2023年08月19日
撮影場所
品川 / 東京
ジャンル
建築写真
カメラ
RICOH GR III