新田という地名を見ると比較的新しく開墾された土地であると思いがちだけれど、東京の大田区にある武蔵新田はちょっと毛色が違う。ここは「しんでん」とは読まず「にった」と読む。ここは新たに開墾した土地ではなく、人名にちなんでいるのだ。
その人物とは、南北朝時代の南朝方の武将である新田義興だ。謀略により命を落とした新田義興の御霊を鎮めるために、ここ矢口の地に新田義興を御祭神とした新田神社が建てられており、駅名はその神社にちなんでいるのだ。
新田義興が祀られているのは、いわゆる御霊信仰の一例だ。御霊信仰とは不幸な死に方をした人の霊をなだめ、災いをもたらすのを防ぐために神様として祀る信仰だ。謀略に嵌められた新田義興は、そのまま放っていくと災いをもたらすと考えられていたのだ。そう思う人が多かったくらい、謀略は人としてどうかと思うようなものだったに違いない。でも、神様として祀られるくらいで雲散霧消してしまうような怒りって、それほど大したものではないような気がしてしまうのは、僕が現代人だからだろうか。
2021年11月 静物 東京 | |
ガラス 狛犬 反射 神社 矢口 |
No
12084
撮影年月
2021年7月
投稿日
2021年11月08日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
矢口 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF