銀座線と山手線の渋谷駅の改札が変わってしまってから、岡本太郎の壁画「明日の神話」が掲げられている連絡通路の様子もちょっと変わったような気がする。導線が変更になったせいか、通路の途中で足を止めて大きな窓ガラスの向こうに見える渋谷のスクランブル交差点を眺める人が減ったように見えるのだ。
渋谷駅前にあるスクランブル交差点は地味に渋谷の観光名所のひとつで、青信号に変わるやいなや四方八方から歩行者が道路の反対側に向かって渡り始める様子を上から眺めるのは結構面白く、僕には信号が変わる度にスクランブル交差点で合戦が始まったかのように見えてしまう。先陣を切った人たちが、あちらこちらから足早に交差点中央に向かって進んでいく。そして中央でがっぷり四つに組み、そこから合戦が始まるのだ。しかしながら、実際にはそのようなことが起きるはずもなく、通行人はぶつかることなくお互いに通り過ぎていく。
僕が連絡通路にやって来た時に窓ガラス際に立ち止まって外を眺めていたのは、たった5人の男子高校生だけだった。学校帰りの男子学生たちはカバンを肩からぶら下げたまま、じっと交差点の方に視線を向けている。僕には合戦場のように見えたスクランブル交差点は男子高校生にはどのように見えているのだろう。
2021年8月 町角 東京 | |
バック・ショット 男子学生 渋谷 シルエット 窓 |
No
11986
撮影年月
2021年1月
投稿日
2021年08月02日
更新日
2023年08月19日
撮影場所
渋谷 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III