鴨母寮市場にある魚屋は大変な賑わいを見せていた。次々と舞い込む注文に応えるため、魚屋の男は忙しそうに立ち回り、手を休めることなく働いている。市場特有のざわめきの中、僕も他の客に紛れながら、その働きぶりをじっと眺めていた。
丸い俎板の上には、一尾の魚が置かれていた。男は切れ味の鋭い包丁を手に取り、滑らかな動きで魚を三枚に下ろしていく。その手さばきには無駄がなく、まるで長年の経験が凝縮されたかのようだった。包丁が魚の身に入るたびに、その音が心地よく響く。
驚くべきことに、男はこれほどの忙しさにもかかわらず、表情を変えることはなかった。無心ともいえるその顔からは、淡々と仕事をこなす職人気質が感じられた。市場の喧騒の中で黙々と働く彼の姿は、見る者を惹きつける力があった。魚屋の熱気と彼の冷静さの対比が、印象深い光景を作り出していた。
2017年4月 人びと 台湾 | |
ボウル 俎板 魚 魚売り 包丁 男性 市場 台南 |
No
10107
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年04月14日
更新日
2024年12月22日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA