ジャカルタで路地を奥に向かって進んだ。しばらくすると脇にある部屋の中に生き物の気配を感じた。中を覗くと狭い部屋の中に行きた鶏がびっしりと詰められている。小さなお店が並ぶローカルな市場と思っていた路地の一角に鶏の飼育小屋があったのだ。
鶏は小屋の中を右に行ったり、左に行ったり忙しい。小屋には少し動けるくらいのスペースはあって、ブロイラーほどには密集していない。けれど、放し飼いというには程遠い。このような中間の飼育状態を何というのだろう。
鶏がひしめいた部屋の隣部屋には男がしゃがんでいて、鶏肉をさばいていた。経営工学的にはこの配置が最適なのだろう。隣の部屋から、生きた鶏を持ってきて、すぐさまさばける。次から次へと鶏の脚を切り落としていた男の周囲には鶏の足先(鷄爪)が散乱していた。インドネシア料理で鷄爪はソトという国民的料理に用いられるようだけれど、ここで切り落とした鷄爪は床に散らばっていて、このあと料理に使われるような気配はなかった。
それにしても、あれだけ鶏がいても、すぐ近くで仲間が次々と屠殺されていることに一羽も気が付かないのだはちょっと不思議だ。実は気が付いているのだけれど、どうしようもない運命に見て見ぬふりをしているのかも知れない。
2020年5月 インドネシア 人びと | |
鶏・鶏肉 俎板 ジャカルタ 包丁 脚 |
No
11527
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年05月15日
更新日
2023年09月05日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF