鴨母寮市場(台南)
カメラを向けると、老婆は特に動揺することもなく、静かに視線を返してくれた
言葉が通じなくても、旅先で地元の食べ物を味わう楽しみは変わらない
新鮮な鶏肉を売っていることを示すためのデモンストレーションなのか、捌かれる前の鶏が一羽だけ陳列されていてた
肉まんをそっと扱う彼女の手つきからは、まるで自分の子どもを世話しているような雰囲気が漂っていた
片手で餡をつまみ、もう片方の手で皮を取り、驚くほどの速さで包んでいく手さばきはまさに熟練の技だった
楽しそうに作られた餃子は、きっと美味しいに違いない
魚屋が鴨母寮市場で黙々と魚を三枚に下ろしていた
人気の魚屋の周囲には活気と忙しさが入り混じった独特の雰囲気が漂っていた
中華文化圏では餃子というと水餃子が主流で、焼き餃子はどちらかと言えば残り物を活用した料理のイメージらしい
餃子が日常的に親しまれている台湾の市場では餃子を作っている光景は決して珍しくない
店先の客たちはが黙々と魚屋の手許を注視していた
鶏に残った産毛を丁寧に取り除くのは、とても地味で気の遠くなるような作業だ
豚足は見るからに新鮮そうなのと同時に生々しく、今にも歩き出しそうな錯覚に陥った
くりくりしたサバヒーの瞳が並んでいるのはシュールな光景だ
家鴨の肉を食べたことはあるけれど、頭が出てきた経験はないものの、こうしてお店に並んでいるということは頭も立派な食材なのだろう
日本ではあまり馴染みがない魚だけれど、虱目魚はこの地で非常にポピュラーな存在だ
生きている時は愛嬌のある顔つきなのかもしれないけれど、すでにさばかれた後の虱目魚の瞳は、どこか不気味さを感じさせる
可愛らしい色合いが、真剣な表情とのギャップを生んでいた
その仕草と素敵な笑顔が、さらに僕の満足感を増してくれた
女性が手際よく肉圓を作るのを眺めていると、料理が運ばれてくるのを待つ時間があっという間に感じられた
さまざまな野菜が並んでいるだけではなく、果物も扱っており、林檎が整然と並べられていた
大觀音亭(台南)
クッションの上で膝をつき、祈りを捧げている青年を、壁に彫られた龍の装飾がじっと見守っていた
祭壇で背筋を伸ばして経典を読む女性はまるで勉強机で勉強しているかのようだ
台南(台湾)
大量のビニール袋がくくりつけられた光景はまるで、船底にびっしりと貝殻が張り付いているようで、どこか非現実的な印象を受けた
八仙彩と呼ばれる神棚用ののれんを作る女性の手際は驚くほど正確だようだった
猫たちはどこにいても自由で、自分の時間を楽しんでいる
何匹もの猫たちに出会った路地裏はまるで猫たちの隠れ家のようだった
自動車が入るにはあまりに狭い路地は自然と静寂を湛えている
老眼の男性が歩道に設置されたベンチで新聞を読んでいた
派手な宣伝や目立つ装飾はなく、看板が軒下に控えめに掲げられていた
台南には数え切れないほどの寺院が点在しているものの、それらすべてが一般公開されているわけではなくプライベートな寺院も多いようだ
どこの国でも女の子は話し好きと相場が決まっているような気がする
通りには漢字で書かれた看板が溢れていた
水仙宮市場(台南)
営業妨害ではないかと思うほど、男は苦々しい顔でレンゲを弱々しく口に運んでいた
日本もそうだけれど、すべての国が西暦を用いているわけではなく、北朝鮮は主体年号という独自の暦を使っているし、イスラム諸国ではイスラム暦が広く使用されている
煮込み料理と言われるとわかったような気になってしまうものの、滷味の内容を理解するのは難しい
誰もいなくなった水仙宮市場で働く男に、終わりゆく一日の中でやるべきことを終えようとする責任感のようなものを感じた
栄養豊富な食材といわれても、菱角の尖った角のような形状や黒い外見は僕の食欲をそそるには少し不気味すぎた
中正区(台南)
短い瞬間でさえ、情報や連絡を確認しなければ落ち着かない彼女の姿は、いわゆる「スマホ中毒」を思わせるものだった
ハンドルを握っているのは奥さんで、旦那さんは後部座席に座っていた
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