丸いまな板を目の前に置いた男が、うんざりしたような顔で仕事をしていた。手にしていたのはカエルだ。男はジャカルタのグロドック地区にある市場の中でカエルを売っていたのだ。まな板の横には何匹ものカエルが転がっていて、男の横にあるバケツの中にも多くのカエルが見える。男はカエルの腸を取り除いて販売できるようにしているのだった。
ここグロドック地区はチャイナタウンだ。中華料理は「4本足のものはテーブルと椅子以外、空飛ぶものは飛行機以外すべてを食べる」と言われるくらいだから、このカエルたちも中華料理に使われる運命にあるのだろう。そう思っていたけれど、実はインドネシア料理でもカエルは食材に使われることが多いのだという。そういえば、タイのバンコクにあるクロントゥーイ市場でもカエルは売られていた。東南アジアではそれほど珍しい食材ではないのかもしれない。僕は一度も口にしなかったけれど、インドネシアにはカエル料理を出すレストランも多いらしい。足の部分を唐揚げのようにして食すのが一般的のようだ。
インドネシアでは自国料理でカエルを食材にするだけでなく、輸出も盛んだ。ちょっと古いデータになるけれど、広島大学のレポートによるとこの国は2006年に4,538トンものカエルの肉を輸出している。そして、興味深いのは日本もかつては食用カエルを輸出していたことだ。ピークの1969年には967.7トンもの食用カエルをアメリカに輸出していたのだという。ちょっとびっくりだ。
2020年10月 インドネシア 人びと | |
俎板 カエル ジャカルタ 包丁 市場 |
No
11715
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年10月31日
更新日
2023年08月30日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF