テーブルに丸くて分厚い俎板が置かれていた。中国の影響を受けて、バンコクでも丸い俎板が一般的なのかもしれない。俎板の上には一尾の魚が置かれていて、テーブルの向こうにはごついネックレスをした若い男が立っていた。男は手にした包丁で今まさにその魚を捌こうとしていた。今時の格好をして、前掛けを付けている若い男はクロントゥーイ市場で働く魚屋だった。
ここにはあまり観光客が訪れないからか、僕がカメラを片手にじっと仕事振りを見ているのが珍しいらしい。カメラを向けられている包丁を持っている若い男だけでなく、周囲で働いている他の店員たちもジロジロと眺めている僕を見て笑っている。男が行なっている作業は日々行っていることで何か特別なことではないだろう。仕事として毎日していることだ。でも、幸か不幸か今日に限っては見知らぬ異邦人がやって来てレンズをしっかりと向けている。男は僕の構えているカメラを意識しつつ、口元を緩めたまま手慣れた手つきで魚を捌き始めた。
2018年4月 人びと タイ | |
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No
10535
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年04月26日
更新日
2024年02月19日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA