市場の建物を出てすぐの軒下には、鶏肉を扱うお店が軒を連ねていた。どのお店も鶏肉専門で、他の種類の肉は一切置いていない。羊肉を扱うお店は別のエリアに集まっているようで、この市場ではエリアごとに取り扱う品が分けられているようだった。そのため、この一角は鶏肉一色で、鮮やかな赤や白が目に飛び込んでくる。
写真の中の男も、この鶏肉エリアで働いていたひとりだ。手元には丸太でできた大きなまな板が置かれ、その上には鶏肉の足が載せられている。男は慣れた手つきでナイフを使い、鶏肉を丁寧にさばいていた。その動作には無駄がなく、日々の作業がすっかり身体に染みついている様子が伝わってくる。
カメラを手にした僕が近づくと、男は僕の存在に気が付いた。忙しい手を一瞬止めて、カメラに視線を向けてくれた。こちらを警戒するわけでもなく、作業を邪魔されることへの苛立ちもない。ただ、普段通りの日常の中でほんの少しだけ、外から来た異邦人に興味を持ってくれたような目だった。
2025年2月 インド 人びと | |
肉屋 鶏・鶏肉 俎板 包丁 男性 ムンバイ 口髭 |
No
12785
撮影年月
2024年5月
投稿日
2025年02月02日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF