ミャンマーのヤンゴンで撮影。
露天市を歩いていると肉屋の前にやって来た。テーブルの上には数羽の鶏が転がっている。もちろん、ミャンマーの人たちは牛肉も豚肉も食すけれど鶏肉が一番好みのようだ。その消費量は他のふたつを圧倒している。その結果、市場を歩いていると鶏肉を扱っている肉屋をよく見かけるのだ。
あごヒゲを生やしてオレンジ色の前掛けをした男の目の前には丸い木製の俎板が置かれている。1羽を掴んで上に乗せると、男はつまらなそうに捌き始めた。表情を見る限りでは、男は鶏肉屋の仕事をあまり楽しみながらやっていないように見える。まるで自分がやるべきことは鶏肉を来る日も来る日お鶏肉を捌くことではなくて、何か別のことだと思っているのかのようだ。スティーブ・ジョブズはスタンフォード大学の卒業祝賀スピーチでこう言った。
もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?
もしかしたら、この男も同じことを考えているのかもしれない。