年配の女性と若い男が小さなレストランの厨房で働いていた。おそらく親子だろう。テーブルの上には鍋と丸い木の俎板が見える。二人はちょうど昼食に備えて下拵えをしている最中だった。女性はピーラーを手にしていて、野菜の皮を剥いている。若い男は若い男で奥の方で何かを切っている。ピーラーの音と包丁の音が厨房に規則正しく響いていた。二人はテキパキと準備を進めている。
テキパキと仕事をこなしている人を見ているのは楽しい。たとえそれが巧みの技でなくても、眺めていると心地よくなってくるのだ。僕は厨房の入り口に立ち止まって、ふたりの様子に見とれていた。しばらくすると、女性は僕の方を向いて口を窄めながら何かを話しかけてきた。何を言ってきているのかは分からない。でも、何が面白くて見ているのかを訪ねてきたのだと思う。若い男は苦笑いをしている。当の本人はつまらないことだと思っていることも、他人からしてみると面白いことって結構あると思う。
2018年3月 人びと タイ | |
エプロン バンコク 俎板 厨房 包丁 老婆 |
No
10494
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年03月26日
更新日
2024年02月29日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA