コロナ禍になってすぐの頃はマスクをしたカーネル・サンダース像や狛犬を目にすると微笑ましく思えたものの、そのような状況が長く続いた今ではそのような感覚はとっくになくなってしまっている。鎌倉にある若宮大路に立つ巨大な狛犬がマスクをしているのを目にしても特に感じることはなく、ここもかと思うだけ。それよりも汚れたら誰が取り替えるのだろうとか、風が強かったら外れて飛んでいってしまうのではないかとか下らないことばかりが頭をよぎってしまう。ああ、つまらない人間だ。
参道の脇にある狛犬は神域の守護や魔除けのために置かれたものだ。つまり寺院の山門に立っている金剛力士像と同じように神域に邪悪なものが入ってこないようにする役目を期待されている。そのような重責がある割に、その姿が犬なのは金剛力士と比べると心もとない。金剛力士は憤怒の顔をしつつ、手には金剛杵というインド由来の武器を持っている。いざとなったら武力に訴える気満々なのに対し、狛犬は怖い顔をしているだけなので頼りなく見えても仕方ない。
そのような狛犬ももともとは犬ではなく、獅子だったとする説が有力だ。ペルシャやインドを起源とし、朝鮮半島を経て日本に到来した結果、犬に変わってしまったのだという。なにせ当時の日本人は獅子なんて見たことがない。獅子をどう表していいのか悩んだ末に、ちょっと怖い顔をした犬というところに落ち着いて今に至っているようだ。
2022年3月 神奈川 静物 | |
参道 狛犬 鎌倉 マスク・仮面 像 |
No
12212
撮影年月
2021年12月
投稿日
2022年03月22日
更新日
2023年08月15日
撮影場所
鎌倉 / 神奈川
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85