薄暗い市場の中を進んでいた。この辺りは肉屋や魚屋が軒を連ねているせいか、床が湿っている。ジメジメした空気は一層市場の中の空気を重くしているような気がした。
そのような市場の一角にベチャが停まっていた。自転車タクシーの車両だけが駐められていたのだ。ベチャは座席が車両の前部に付いているので、見ようによっては車椅子のように見えなくもないし、買い物カートに見えなくもない。でも、ここはインドネシアのチルボンにある伝統的な市場の中だ。車椅子はおろか買い物カートが入って来られるようには設計されてはいない。市場の一角にベチャが停まっているのは不自然だった。
ベチャの座席の上に野菜が山積みになっていた。まるで一週間分の食材を買いだめした買い物客が押している買い物カートのようだ。ベチャの周りには客の姿はもちろん、運転手の姿も見当たらなかったから、買い物主は今この瞬間もどこかのお店で食材を買い求めているのかもしれない。いずれにしても、このような買い方をする人がいるから、町中で野菜を満載したベチャが走っているのを見かけるのだろう。
2021年2月 インドネシア 乗り物 | |
籠 ベチャ チルボン 市場 野菜 |
No
11819
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年02月16日
更新日
2023年08月28日
撮影場所
チルボン / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF