どこの国でも市場のようになっていて、人が大勢集まるところにはタクシーのような人と荷物を運ぶのを生業にしている人がいる。ジャカルタのグロドッグにある露天市の端にもやはりそのような男がいた。ただし、この男の愛車はタクシーではなく、三輪オートのバジャイでもなく、ベチャと呼ばれる自転車タクシーだった。
ベチャは座席が自転車のハンドルの前に備え付けられているタイプの自転車タクシーだ。語源は中国語の福建方言で馬車のことをベチャと呼ぶことに由来するようだ。見た目には、ベトナム辺りで見かけるシクロと似ている。自転車だけにのんびりしか走れない。そのため、ジャカルタでは主要道路の通行が禁止されているらしい。
市場の端で買い物を終えた人を目当てに、男は客待ちしているようだった。でも、客はなかなか現れないようだ。手持ち無沙汰の男はガラムというインドネシアのタバコを取り出して、吸おうとしていた。一時期、日本でもガラムばかり吸っていたけれど、最近日本ではとんと見かけない気がする。
ガラム (GARAM) は、インドネシアのグダン・ガラム社が製造する第5番目のタバコのブランド名である。正式名称は社名と同じグダン・ガラム(GUDANG GARAM:「塩の蔵」の意)であるが、日本ではガラムと呼ぶ場合がほとんどである。 クローブを香料に使ったクレテックと呼ばれるタイプである。 巻き紙に染みが浮いていることが多いが、クローブ(漢方薬にも使われている丁子)の精油が滲み出たものであり、汚れではない。 吸い口が甘く、火を付けるとパチパチと火花が散り、クローブの非常に特徴的な香り(しばしば「猛烈に臭い」「お香くさい」「吐き気を催すほど甘ったるい」等と表現される)が漂う。
No
11562
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年06月12日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF