道を進んでいくにつれ、道端にベチャという自転車タクシーの姿が増えてきた。段々と目指していたチルボンの市場に近づいていくのを実感する。でも、大勢いるベチャの運転手のほとんどは暇そうだ。市場で買い物を終えた人びとを次から次へとどこかへ乗せて走り出すわけでもなく、自転車タクシーを道路脇に駐めてのんびりしている人が多い。ベチャの台数に比べて、この時間にやって来る買い物客はそれほど多くないのかもしれない。
写真の頰の痩けた男も市場の近くでのんびりとしていたひとりだった。自転車タクシーの座席でふんぞり返っていて、客を待っているのか、休息を取っているのかは判然としない。鋭い視線を往来に向ける男は、まるで人混みの中に獲物となるものを探しているかのようにも見えてしまう。
僕が目の前に立っても、男は一瞥しただけですぐにプイッと視線を逸してしまった。険しい顔をしたまま往来を眺める男は、客でもないのに一丁前に俺のところに来るなと僕に言っているような気がした。どうやら僕は男にとっての獲物には該当しなかったようだ。
2021年1月 インドネシア 人びと | |
ベチャ 青 チルボン 客待ち 痩けた頬 リクシャワラー |
No
11787
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年01月15日
更新日
2024年07月15日
撮影場所
チルボン / インドネシア
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF