チルボン駅の近くまでやってくると、道をゆく人も道路を走っている自動車も増えてきた。駅周辺が町の中心というわけではないのだけれど、やはり駅を中心とした人の往来が多いのだろう。
そして、駅の近くには人の往来を目当てにした人たちもいる。列車でやって来た人の荷物を運ぶポーターの姿もあれば、自転車タクシーで客待ちする男たちの姿もある。写真の口髭を生やした男もそのひとりだ。男はベチャという自転車タクシーの運転手で、駅近くの道端に愛車を駐めて客が来るのを待っていたのだった。
近くを通りかかると、口髭の男と目が合った。目が合ったからには、もう素通りはできない。僕はカメラを構えて男に近づいていく。咄嗟のできごとに男はちょっと動揺したようだ。両手を挙げて、ポーズを取るのか、取らないのか判然としない挙動を取った。この時の男のセリフは「オイオイ、俺なんかの写真を撮っても仕方がないだろう」に似たものに違いない。インドネシア語だったからわからなかったけど。そして、そのセリフは僕の中でアメリカのドラマのような大袈裟な感じでエコーしていた。
2021年2月 インドネシア 人びと | |
ベチャ 帽子 チルボン 客待ち 口髭 ポーズ リクシャワラー |
No
11831
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年02月28日
更新日
2023年08月28日
撮影場所
チルボン / インドネシア
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF