歩いているうちにバンコクにある大きなクロントゥーイ市場で肉屋が集まっている区画に来ていた。どの店先にも大量の肉の塊が陳列されている。写真の肉屋もその区画にあったお店のひとつだ。テーブルの上に隙間なく肉が並べられていて、天井からも大きな肉の塊がぶら下げられていた。
大量の肉に囲まれてエプロンをした女性が働いていた。肉を仕分けるのに忙しそうだ。店先に突っ立っている僕のことなど目にもかけない。もっとも僕もここで肉を購入するつもりなどないので、その方が好都合だ。僕はただ働いている姿が見られれば満足なのだ。
それにしても大量の肉が売られている。これだけあっても一日で売れてしまう。クロントゥーイ市場にある肉屋は全て吹きさらしだ。お店に冷房なんてものはないし、並べられている肉も冷蔵庫に入れられているわけでもない。どれだけ新鮮な肉であっても翌日になればかなり傷んでしまうに違いない。それに日本と違って、ちょっと古くなった肉をコロッケに加工するような風習もバンコクにはない。つまり劣化してしまう前に、肉は売れてしまうのだ。
働いていた女性の背後に目を向けるとラーマ10世の肖像画が掲げられていた。ここはありふれた精肉店なのだれど、お店の奥に国王の肖像が飾られている。だからといって、このお店の人が熱心な右翼とは限らない。バンコクではこのお店と同じように王族の肖像画を飾っているお店は多い。それはタイで王族が尊敬を集めているのを示しているだけで、お店の人の政治的態度を表しているわけではないのだ。
旅をしていると町中に王族の肖像が飾られているような国に赴くこともある。でも、それが必ずしもタイと同じように王族が尊敬を集めている証拠とは限らないからややこしい。20年前くらいに訪れたシリアでは、ハーフィズ・アル=アサド大統領(バッシャール・アル=アサド大統領の父)の肖像が町のいたることろに飾られていたけれど、国民から好かれているような雰囲気はあまり感じられなかった。
2020年2月 人びと タイ | |
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No
11398
撮影年月
2019年9月
投稿日
2020年02月12日
更新日
2023年09月12日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA