クロントゥーイ市場にある肉屋の屋根は赤いビニールシートで作られていた。そのため、肉屋の中は一面赤味を帯びた世界になっていた。まるで、赤いフィルターを付けたカメラで覗いているようだ。そのようになっているのは、この肉屋だけではない。他の肉屋も同じように赤いビニールシートを肉が陳列されている上に広げている。何か意味があるのだろう。ひょっとしたら、普通のビニールシートよりも、この方が肉が傷むのを遅らせるような効果があるのかもしれない。いや、違う。おそらくはその方が肉が赤く見えて美味しそうに見えるからなのだろう。
いずれにしても、この肉屋では男たちも女たちもそのようなことを気にすることなく働いているように見える。奥の方では女性たちがおしゃべりに花を咲かせながら大きな肉の塊を扱っている。そして、手前では男が包丁を手にして黙々と肉を小さくさばいていた。
よく見てみると、男の腕には蜘蛛の巣ような刺青が入っている。蜘蛛の巣には神秘や陰謀や危険といった意味があるようだから、真面目に仕事をしているこの男も見かけによらず、実は邪悪な一面を持ち合わせているのかもしれない。
2020年2月 人びと タイ | |
バンコク 肉屋 クロントゥーイ市場 市場 肉 刺青 |
No
11404
撮影年月
2019年9月
投稿日
2020年02月16日
更新日
2020年09月14日
撮影場所
クロントゥーイ市場 / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA