今度やって来たのは小さな食堂だった。床一面に食材が入った籠が置かれている。足の踏み場もないくらいだ。奥の壁に目をやると、テレビの横に国王の肖像画が掲げられている。最近亡くなったラーマ9世と並んで、ラーマ5世の写真も飾られている。ラーマ9世の写真はいたる所で目にするけれど、ラーマ5世は珍しい。タイを近代化させた名君として知られるラーマ5世が亡くなったのはもう100年以上前のこと。実際のその治世に生きていた人はもうほとんどいないだろう。ちなみに映画「王様と私」で英国人の女性家庭教師が教育を担当したのがラーマ5世だ。
散らかった部屋の中では二人の女性が食材を刻んでいた。トントンとリズムの良い包丁の音が聞こえてくる。二人は下ごしらえをしているのだ。これだけの量の食材を用意しているということは、この食堂はかなり繁盛しているに違いない。そんな様子を眺めていると、奥にいた女性が僕に気がついた。カメラを向けると、包丁を上げながら笑顔で応じてくれた。
2018年8月 人びと タイ | |
エプロン バンコク 食材 包丁 ポートレート 女性 |
No
10703
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年08月22日
更新日
2024年02月03日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA