パリに建つ凱旋門が布で覆われたのは2021年のこと。芸術家ユニットである「クリストとジャンヌ=クロード」による「L’Arc de Triomphe, Wrapped」(ラッピングされた凱旋門)というプロジェクトでパリの象徴とも言える凱旋門がすっぽりと布で覆われたのだった。いくら大きいとはいえ、凱旋門をただ布で包むだけだと思ったら大間違い。ふたりが凱旋門を包むプロジェクトを着想したのは1961年だというから、構想から実現まで60年もの時間がかかっているプロジェクトなのだ。あまりにも長い時間が経過してしまったため、クリスト(2020年没)もジャンヌ=クロード(2009年没)も実現する前に亡くなってしまったくらいだ。
赤坂にある東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTで展示されていたのは、その壮大なプロジェクトの制作背景と実現に向けた長い道のりに焦点を当てた企画だった。多くの記録画像や映像の中で僕が興味を持ったのは若い頃のクリストの写真だ。中に入ってすぐに現れる、スーツをまとった神経質そうな若者がレンズを見つめている写真だ。「ラッピングされた凱旋門」というプロジェクトを着想した頃だろうか。その細身の若者がプロジェクトが実現した暁には老人を通り越して亡くなってしまっている。この企画展にはそれだけの長い時間が詰め込まれているということ。展示物を眺めている内に自分も歳を取ってしまいそうな気がした。
2023年2月 町角 東京 | |
赤坂 博物館・美術館 ポートレート |
No
12451
撮影年月
2022年11月
投稿日
2023年02月23日
更新日
2023年08月09日
撮影場所
赤坂 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35