気がつけばこの日も美術館に来ていた。この日にやって来たのは東京の丸の内にある三菱一号館美術館だった。1894年に日本政府が招聘した英国人建築家ジョサイア・コンドルによって建てられたクイーン・アン様式の建物を、2009年に復元した三菱一号館に入っている美術館だ。かつて三菱銀行(現在の三菱UFJ銀行の源流のひとつ)などがテナントとして入っていたところが、復元されて今は美術館になっているのだ。ちなみに現在の三菱UFJ銀行の本店は、今でもこの三菱1号館の通りの向かいにそびえ立っている。
この日はフェリックス・ヴァロットンというスイスの版画家の作品が展示されていた。実際に展覧会に来るまで僕は知らなかったけれど、黒一色の革新的な木版画で有名な画家で、現代木版画発展期の重要な人物なのだという。確かにポスト印象派や象徴主義と並んで日本の版画からも影響を受けたとされる作風は、輪郭とフラットなパターンが強調されていてとてもモダンだ。格好いい。
ほとんどの展示室が写真撮影が禁止だった中、最後の一室だけは写真撮影可能だった。そこでは人びとが堰を切ったように写真を撮っていた。美術館で撮影した写真なんて、後で見返したりするのだろうか。作品の美しさを後で味わうには売っている図録を買うほうが良いのではないかと思いつつ、僕もシルエットになってカメラを構える人びとを眺めながら、シャッターをパシャパシャと切ったのだった。
2023年3月 町角 東京 | |
作品 丸の内 博物館・美術館 シルエット |
No
12459
撮影年月
2023年1月
投稿日
2023年03月11日
更新日
2023年08月08日
撮影場所
丸ノ内 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III