東京国立近代美術館の2階でトイレに行こうと思うと、途中に不思議なものが立っている。人の形をした不思議な物体が窓の外を向いて立っていて、窓の外に立つ同じような人の形をした物体と向かい合っている。展示室の外にこっそりと置かれているものの、これはれっきとしたアート作品。イギリスの彫刻家であるアントニー・ゴームリーの「反映/思索」という作品だ。それなのに扱いは雑に思えてしまう。トイレに向かう途中に気が付かなければ、ここにあると気が付かない人も多いに違いない。
人体とは記憶と変化の「場所」であるとするゴームリーは、自身の体をモデルにして作品を作っているという。東京国立近代美術館の2体も本人の体をモデルにしているのだそうだ。そうだとすると窓ガラスを挟んで向かい合っている彫刻はどちらもゴームリーの分身で、自分そのものを見つめていることになる。見つめ合ったまま、ピクリとも動かないのは自分の美貌に見とれているのか、それとも自分自身がメデューサのように見た者を恐怖で硬直させてしまう魔力を持っていたからだろうか。
2022年11月 静物 東京 | |
作品 北の丸公園 博物館・美術館 |
No
12399
撮影年月
2022年7月
投稿日
2022年11月18日
更新日
2023年08月10日
撮影場所
北の丸公園 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35