薄暗い建物の内部で壁が光っていた。どの壁も鮮やかに発色している。ステンドグラスだった。ここは小樽にあるステンドグラス美術館。かつて大豆を収めていた倉庫に、19世紀後半から20世紀初頭にかけてイギリスで制作され、実際に教会の窓を飾っていたステンドグラスが飾られている。
教会を飾っていただけあって、展示されているステンドグラスはどれも聖書をモチーフにしている。キリストの磔刑図もあれば、テレビ番組でしか目にしないような大きな鍵を持つペテロもいる。ペテロはマタイによる福音書でイエスが与えるのを約束したとされる天国の鍵を抱えているのだ。他にもホタテの貝殻を帽子につけた大ヤコブなど、キリスト教の聖人が描かれたものがたくさん飾られていた。
そのような中、僕が興味を惹かれたのは聖ゲオルギオスを描いたものだった。有名な伝説のとおり、馬にまたがった聖ゲオルギオスがドラゴンを退治している。中国では皇帝のシンボルとされる龍が、キリスト教文化では騎士に退治されてしまうドラゴンになってしまうのだ。その対応関係にちょっと居心地を悪く感じてしまう。龍とドラゴンは違うものとすればよかったのに、なぜ対応させてしまったのだろう。これもオリエンタリズムの一形態なのだろうか。
2024年2月 北海道 静物 | |
作品 十字架 博物館・美術館 小樽 ステンドグラス |
No
12566
撮影年月
2023年6月
投稿日
2024年02月24日
更新日
2024年08月22日
撮影場所
小樽 / 北海道
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF