池ノ上駅で電車を待っていた。ここは井の頭線の渋谷駅から3つ目にある駅で、各駅停車しか停車しない小さな駅だ。この時もプラットホームで待っていたものの、なかなか停車する電車はやって来ない。来たと思っても、急行だったようで駅を大慌てで通り過ぎてしまう。通り過ぎていく電車を見送り、やっと停車する電車がやって来たと思いきや、今度は自分が向かうのとは逆方向に向かう電車だった。
夕暮れ時で影は長い。プラットホームで待っている人びとの影も長いし、やって来た電車の影も長い。プラットホームは入ってきた電車の長い影にすっぽり覆われてしまった。そして影の中を電車に乗り込む人たちのシルエットが動いていた。
小さな駅なので電車が停車する時間も短い。乗客を飲み込んだ電車はあっという間に扉を閉じて走り去ってしまった。住宅街の中にある小さな駅は電車が走り去ってしまうと、ポッカリと穴が開いてしまったかのようだ。そしてその穴の中に気だるい日差しが再び充填し始めた。
2021年5月 町角 東京 | |
代沢 プラットホーム シルエット 駅 |
No
11913
撮影年月
2020年8月
投稿日
2021年05月21日
更新日
2023年08月22日
撮影場所
渋谷 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III