東海道線に乗って下っていた。東海道線の2階建てになっているグリーン車に乗るのは初めてだった。見晴らしの良さそうな2階に席を取るよりも、1階の方が空いているだろうと思って1階に席を取り、少し贅沢な気分で西へ向かう。いつもより低い場所にある車窓から眺めるその景色は、見慣れた景色もいつもと違って見える。ちょっとだけ地を這っているかのような気分になるのだった。
地を這うような気分に最も浸れるのは、やはり駅に到着したときだろう。2階建て車両の1階席の車窓は当然のことながら低いところにある。そのため列車が駅に入ると車窓からの視線はプラットホームの床と同じくらいの高さになる。幼い子どもならいざしらず、この年になるとプラットホームの上で寝転がるようなことはしない。でも、1階席に座れば、まるでプラットホームで寝転がったときのような視界が得られるのだ。
乗っていた列車が平塚駅に入ったときもそうだった。車窓の向こうを大勢の人の脚が横切っていく。視線の位置が低いので、脚ばかりが目に入る。なんだかちょっと背徳感を感じる視界だった。
2021年6月 神奈川 人びと | |
平塚 プラットホーム シルエット 駅 |
No
11953
撮影年月
2020年12月
投稿日
2021年06月30日
更新日
2023年08月21日
撮影場所
平塚駅 / 神奈川
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III