戦後もだいぶ経ってから生まれた僕にはピンとこないけれど、東京の赤羽や十条の辺りはかつて軍都だったところ。軍都とは軍隊とその関連施設が集中したところを指す言葉だ。今でも十条に自衛隊の十条駐屯地があるけれど、第二次世界大戦前の十条や赤羽周辺にはもっと多くの軍事施設があったのだ。
陸軍の東京第一陸軍造兵廠や東京第二陸軍造兵廠がこの辺りにあったものの、そのような施設の多くは戦後、自衛隊と縁もゆかりのない施設になっている。面白いのは別の用途に使われていても当時の建造物が残っていて、軍都だった名残を今でも感じられることだ。
例えば、北区立中央公園文化センターの白亜の建物はかつての東京第一陸軍造兵廠本部だった建物だし、北区立中央図書館の赤レンガ部分は東京砲兵工廠銃砲製造所・旧275号棟だった建物だ。そのような中、僕が興味を惹かれたのは板橋区立加賀公園だ。中学校の向かいにあって、単なるのどかな公園であるここはかつて東京第二陸軍造兵廠の板橋火薬製造所だったところ。ここで火薬を製造し、弾道検査を行っていたため、かつて敷地だったところに弾道検査を行った弾道管と試験室管が残っている。
軍都だった痕跡は思いもよらない所にもある。家路に就こうとやってきた十条駅にも残っていたのだ。この駅は当初、東京砲兵工廠が発送・到着する貨物を取り扱う貨物駅だったところ。多くの人びとが何食わぬ顔で電車を待っている駅にも軍都だった歴史が刻まれていたのが意外だった。
2023年12月 町角 東京 | |
十条 乗客 プラットホーム 駅 列車 |
No
12543
撮影年月
2023年5月
投稿日
2023年12月06日
更新日
2023年12月10日
撮影場所
十条 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF