嘉義へ向かうために駅へやって来た。けれど、思ったより早く着いてしまった僕は、広々としたプラットホームをウロウロと歩き回っていた。台南駅のプラットホームはとても長い。途方もなく長い列車がやってきたとしても、楽々と停まれるだろう。それぞれの場所で、人びとが思い思いに列車の到着を待っている。
プラットホームの一角にはベンチがいくつか置かれていて、何人かの人が腰を下ろしていた。おじいさんは杖の上に手を置きながら、じっと遠くを見つめている。その隣に座る女性は、熱心にスマホの画面を覗き込んでいた。それぞれがそれぞれの時間を静かに過ごしているようだった。
プラットホーム全体が静寂に包まれていて、その中に漂う穏やかさが心地よかった。誰もが、焦ることなく列車の到着を待っている。その姿が、この空間全体をゆったりとしたリズムで満たしているように感じられた。
そういえば、中国語でプラットホームのことを「月台」というらしい。その響きがどこか詩的に思えて、しばらくの間その言葉を頭の中で繰り返してみた。
2017年5月 人びと 台湾 | |
プラットホーム シルエット 駅 杖 台南 |
No
10142
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年05月15日
更新日
2024年12月06日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA