チルボンの鉄道駅にやって来た。ジャカルタまでの切符を買い求め、プラットホームに向かうと、自分が乗る予定の特急列車はすでにホームに入っていた。白い機関車を先頭にした長い列車がどしんと構えていた。
この駅に跨線橋はない。駅舎から線路を越えたところにあるプラットホームに行くためには線路の上を徒歩で横断していかねばならない。列車が来ないと分かっていても、線路の上を直接歩くとちょっと緊張する。その代わり、空は広い。
ちなみに公用語であるインドネシア語で空はランギ、この地方の言語であるスンダ語でも空はランギだ。似ている。イントネーションがちょっと違う程度だ。けれど、インドネシア語とスンダ語は別の言語ということになっている。
インドネシアの公用語であるインドネシア語は、マラッカ海峡の周辺で用いられていた交易語(リンガ・フランカ)であった海峡マレー語を、オランダからの独立運動の中で民族の統一言語としたものだ。それが建国時に公用語に制定されている。つまり、今は母語とする人も増えつつあるものの、もともとはビジネスする上で幅広い人に使用されていた言語であって、家庭内で使用される言語ではなかったのものだ。交易語を公用語に制定した結果、インドネシアの人たちは教育をインドネシア語で受ける一方、家庭内では地元の言語を、例えばここチルボンならスンダ語、を使うバイリンガルに育つのだ。
幸運にも日本は日本語だけで高等教育を受けられる国だ。母語で教育を受けた身としては、母語ではない言語で授業を受けるという状況がいまいちピンとこない。ただ勉強するハードルが一段も二段も高くなるような気はする。理解できていない概念を母語ではない言葉で説明されても理解するのは難しいに違いない。
2021年3月 インドネシア 乗り物 | |
チルボン プラットホーム 線路 駅 列車 |
No
11832
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年03月01日
更新日
2023年08月28日
撮影場所
チルボン / インドネシア
ジャンル
鉄道写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF