市街地にあるにもかかわらず掘にすっぽり囲まれた鑁阿寺の境内は結構広い。もともとここは室町幕府初代征夷大将軍である足利尊氏の先祖・足利義康が居宅を構えていたところ。有力者の住居は武士が活躍していた時代から般市民の住居とは比べ物にならないくらい大きいのだ。
その広さとは裏腹に、鑁阿寺の主要な建造物は境内の一箇所に固まって建てられている。堀で囲まれた境内のほぼ中央に本堂があって、主要な伽藍はその本堂の周りに集まるように建てられているのだ。多宝塔もすぐ近くに建っているし、重要文化財に指定されている一切経堂も本堂からそれほど離れてはいない。密集しているのを見ると、もうちょっとそれぞれが離れて建っていてもいいのではないかと思ってしまう。
写真の建造物はそんな鑁阿寺の多宝塔だ。1692年に徳川五代将軍綱吉の母である桂昌院が再建したもので、金剛界大日如来と勢至菩薩をお祀りしているものだ。すぐ脇に設置されたベンチには男性ふたりが腰を下ろしていて、ゆっくりしたペースで会話を交わしていた。腰を下ろした際の距離感と会話のペースから判断するに、ふたりは親子のようだった。
2021年10月 町角 栃木 | |
足利 ベンチ 親子 仏塔 寺院 |
No
12055
撮影年月
2021年4月
投稿日
2021年10月10日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
足利 / 栃木
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF