東京は京都と異なり、第二次世界大戦末期にアメリカ軍の無差別爆撃を受けた。もっとも空襲を受けたのは東京だけではない。制空権を握られた日本は、地方都市もアメリカ軍に好き勝手に攻撃された。終戦直後の写真を見ると、建物が想像以上に破壊されており、その光景に驚いてしまう。日本の都市には木造建築が多かったため、焼夷弾を用いたアメリカ軍にとっては面白いくらい日本の都市は燃えたのだろう。その結果、東京でも歴史ある木造建築が灰燼に帰している。例えば、増上寺にあった徳川将軍家の霊廟はきれいさっぱり無くなったし、浅草寺の本堂も空襲で焼失したのを戦後に再建している。
このような歴史を考えると、池上にある本門寺に1608年建立の五重塔が今でも建っているのは単なる幸運以外の何ものでもない。空襲で焼失しなかったのは、建っている場所が東京の中心からやや離れていたからだと思いがちだけれど、実はそうではない。実際、本門寺の本堂たる祖師堂は空襲で焼失してしまっている。五重塔が延焼を免れたのは単なる偶然に過ぎず、文字通りラッキーだっただけなのだ。
2023年5月 建築 東京 | |
枝 池上 シルエット 仏塔 寺院 木 |
No
12490
撮影年月
2023年2月
投稿日
2023年05月13日
更新日
2024年09月01日
撮影場所
池上 / 東京
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF