タイ王室と関係の深いワット・アルンの仏塔は巨大なだけでなく、色と形も東南アジアでよく見かける仏塔とは異なっている。大抵の場合、釣り鐘のような形でぼってりとしていることが多いけれど、ここの仏塔は細身で空に突き刺さるように伸びている。画鋲を上向きにおいたような感じなのだ。それだけではない。黄金に彩られることもなく、真っ白なのだ。青空の下で空高く伸びる白い仏塔は別格の雰囲気を放っている。
仏教で白は仏歯の色を表し、清らかな心で諸々の悪業や煩悩の苦しみを清める清浄を表しているとされる。ワット・アルンの仏塔の白さはその清浄を具現化しているのだろう。だからといって、仏塔に近づきさえすれば煩悩を捨て去り清らかな心になるかといったら、そんなことはない。少なくとも僕はならなかった。仏塔の周辺は大勢の観光客で賑わっていて、現世そのものだ。近づくだけで、煩悩を捨て去ることができるのなら、僧侶も出家して修行する必要がないだろう。
2019年12月 建築 タイ | |
バンコク 仏塔 寺院 塔 |
No
11338
撮影年月
2019年9月
投稿日
2019年12月26日
更新日
2023年09月20日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
建築写真
カメラ
RICOH GR III