今でも東南アジアの、特にミャンマーの仏教寺院では主役で境内の中心にどしんと構えていることが多いものの、日本ではいつの間にか本来の目的から解放されている。飛鳥寺式の伽藍では中心に備えられた仏塔も、四天王寺式、法隆寺式、薬師寺式と時代が下るうちに単なる装飾と考えられるようになり、東大寺式になると回廊の外に配置され、大安寺式になると南大門の外に追いやられてしまっている。もともとはブッダのお骨である仏舎利を保管する重要な建造物だったのに、日本では主役の座を本堂に鎮座する仏像に奪われてしまい補助的な役割しか担っていないのだ。
本来の重責から解放されたからなのか、仏塔はのびのびと空に向かって屹立しているように見える。銚子にある飯沼観音に建つ五重塔もそうだった。陽射しを浴びて活き活きしている五重塔は、気がついたときには宝珠を載せた九輪の数が増えていても不思議でないくらい健やかに空に向かって伸びていた。ここの五重塔は薬師堂と多宝塔も兼ねていて、中にあるのは仏舎利ではなく薬師如来像のようだ。
2022年7月 建築 千葉 | |
銚子 仏塔 寺院 塔 |
No
12332
撮影年月
2022年5月
投稿日
2022年07月26日
更新日
2023年08月13日
撮影場所
銚子 / 千葉
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35