山の中腹に建てられている足利の織姫神社の参道は急な石段になっている。229段もある石段を登るのは普段運動していない人間にはちょっとつらい道程だ。そんな急な階段を多くの人がゆっくり一歩一歩ずつ登っている一方で、一段飛ばしで階段を駆け上がっていく若人の姿がある。
どうやら近くにある高校が神社の参道を練習場に使っているようなのだ。石段の上に立って、渡良瀬川の景色を眺めていると五月雨式に高校生が階段を上がってくる。高校生たちは参拝するために石段を登ってくるわけではないので、頂上で小休止するとまだ石段を下りていく。石段を駆け上がるのを繰り返しているのだ。きついメニューだ。
石段を駆け上がるだけでもすごいと思うのに、高校生たちはすれ違う度に見ず知らずの僕に挨拶をしてくれる。ちょっと心地よい。でも僕は聞いたことがある。地方によっては、見ず知らぬ人に積極的に声をかけるところがあるということを。不審者が声を掛けられると見られていると思い、防犯になるのだという。そのため高校生などが明らかに地元の人ではない人を見かけると積極的に声をかけるのだ。
僕は不審者と思われている。挨拶されて心地よいものの、同時に不審者とも思われているのにちょっと気持ちは凹んでいた。それは高校生たちがすれ違う人全員に声を掛けているのを見ても、なかなかもとには戻らなかった。
2021年10月 人びと 栃木 | |
足利 バック・ショット 走る 男子学生 神社 階段 鳥居 |
No
12060
撮影年月
2021年4月
投稿日
2021年10月15日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
足利 / 栃木
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF