函館八幡宮や函館護国神社と同じように、山上大神宮もまた函館山の中腹に建てられていた。それぞれが中腹に建てられているのだから、同じ高さのところに横に伸びる道があれば、坂道を上り下りすることなく3つの神社を行き来できるのに、世の中はそれほど甘くできていない。どの神社も坂道の参道を登ってお参りを終えたら、麓までいったん下りて、また新たな気分で別の参道を登らないといけない。それぞれ別の神社なのだからという意識があるのかどうかは知らないけれど、それぞれ参道を登らなければならないようになっていて横着させてはくれないのだ。
函館八幡宮と函館護国神社、山上大神宮はいずれも参道は坂道になっているのだけれど、中でも山上大神宮の参道がもっとも長い坂道だった。坂道の上の方に鳥居は見えるものの、なかなか境内にはたどり着かない。廃墟のようになってしまったかつてのロシア領事館を横目に見ながら登っていってもまだ着かない。たどり着くのはもう住宅街の中の坂道が終わって、山道になってしまいそうになってからだった。
息を切らしながら鳥居の足元に目を向ければ、白い花がたくさん咲いていた。マーガレットに囲まれていて華やかな鳥居だと思いきや、これはマーガレットではなく外来種のフランスギクという植物らしい。「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」にも記載されている植物だ。愛くるしく人畜無害のような顔で咲き乱れているけれど、実は悪いやつ。一瞬でも素敵だなと思った僕は、なんだかぶりっ子にやすやすと騙されたような気分になった。
2022年9月 北海道 自然 | |
花 函館 神社 鳥居 |
No
12374
撮影年月
2022年6月
投稿日
2022年09月20日
更新日
2023年08月10日
撮影場所
函館 / 北海道
ジャンル
花写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35