函館護国神社も函館八幡宮と同じように函館山の中腹に建てられていて、境内に行くのに坂道と階段を乗り越える必要があるものの、たどり着いてしまえば境内からの眺望はいい。頭上を遮るものもなく、すがすがしい境内だった。
護国神社という名前が示す通り、ここはかつて招魂社と呼ばれていた神社で、明治維新以降に国家のために殉難した人の霊を祀る神社だ。つまり東京にある靖国神社と同じく国家によって建立された神社で、氏子なるものは存在していない。そのためだろうか。函館八幡宮と比べると参拝に訪れる人は少ないように見えた。境内にも草が生い茂りたんぽぽが咲き乱れ、その先に鳥居が寂しげに立っていた。
護国神社だけに、境内には戦没者を悼む石碑がいくつも建っている。戊辰戦争の弔碑もあるし、日清戦争の弔碑もあるし、第2次世界大戦のもある。そのような中、僕が興味を惹かれたのは「旧官修墳墓」という新政府軍の墓。社殿横の奥まったところに箱館戦争で戦死した官軍兵士の墓が並んでいるのだ。穢を嫌う神社の境内にお墓があるのは珍しい。ただでさえ参拝客の少ない神社で、官軍兵士の墓をお参りしている人は誰もいない。人のいない木々に囲まれた墓所はまるで禁足地のようだった。
2022年9月 北海道 町角 | |
タンポポ 花 函館 神社 鳥居 黄色 |
No
12371
撮影年月
2022年6月
投稿日
2022年09月15日
更新日
2024年02月10日
撮影場所
函館 / 北海道
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35