加藤清正が掘ったと言われている「清正井」から湧き出た水は細長い菖蒲田を水に浸すと、その先にある南池へと注ぎ込む。清正井で間近に目にする湧き水はちょろちょろ出ているばかりで心もとないのとは裏腹に、南池はなみなみと水を湛えていて大きな鯉が泳ぎ回っている。南池の畔に立って水面を眺めていると「涓涓塞がざれば終に江河となる」という諺の現物を見せつけられた気分になるくらいだ。
南池にはその名も「お釣台」というデッキスペースが張り出ている。単なる釣りをする場所なのに仰々しく「お」の字が頭に付加されているのは、ここで昭憲皇后が釣りをされたからだ。そもそも南池のある神宮御苑は、昭憲皇后が運動できるように遊歩庭園として明治天皇が整備させたのが始まりだ。つまり明治神宮の附属施設として造園されたかのように思ってしまうけれど、実際には御苑のあった南豊島御料地が明治神宮の設営地になったのだ。御苑の方が古いのだ。
そのため明治神宮の森が神宮設営時に造られた「人工の森」であるのに対し、御苑の雑木林は武蔵野の面影を残す原生林なのだという。御釣台の向こうに鬱蒼と生い茂る森も原生林なのだ。もっとも素人には原生林も人工林も見分けがつかず、水面に漂う蓮の花に魅入ってしまうだけだけれど。
2022年8月 自然 東京 | |
花 庭園 蓮 池 代々木 |
No
12357
撮影年月
2022年6月
投稿日
2022年08月24日
更新日
2023年08月11日
撮影場所
代々木 / 東京
ジャンル
花写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85