1943年に消滅してしまったけれど、かつて新宿区に四谷寺町という町名があった。その名が示す通り、寺が多く集まったエリアだ。徳川家光の時代に江戸城外堀を造ることになり、現在の麹町地区にあった多くの寺がこの地に集団移転したため寺が多いのだという。残念ながら、四谷寺町という町名は今では何の味気もない若葉というものに変わってしまっているものの、多くの寺は今でも同じ場所に建っている。地図を見ると寺の隣に寺があり、寺の前に寺があり、寺の裏に寺がある。寺と寺の隙間に民家が建っているようで寺町と呼ぶのに相応しい風情だ。
服部半蔵の墓がある西念寺を出て、観音坂を下っていく。この坂の下にある真成院に安置されている潮干観音からそう呼ばれているのだろう。しかしながら、この坂沿いに建っている寺は真成院ばかりではない。西念寺もこの坂に面しているし、信壽院という寺も蓮乗院という寺も面している。さすがは寺町だ。
坂を下り切る前に蓮乗院という寺院の中に入ってみた。質素な境内は民家のよう。誰もおらず閑散としていた。窓の前で咲くアロエの花と窓ガラスに映る影だけが生き生きとしていた。
2021年8月 町角 東京 | |
花 影 寺院 窓 四谷 |
No
11990
撮影年月
2021年1月
投稿日
2021年08月06日
更新日
2023年08月19日
撮影場所
四谷 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF