函館駅前から乗り込んだ路面電車は車と一緒に道を進んでいく。十字街停留場を超えて左に曲がり、広々とした通りの中央を我が物顔で進んでいく。繁華街でもなく、観光名所からも少し離れたエリアを走る市電はガラガラで、自分の専用車両なのではないかと夢想していると進行方向に函館山が見えてくる。そうしたら終点の谷地頭停留場はもうすぐだ。谷地頭停留場はそこでレールが終わるターミナル駅のはず。自分でも理由がわからないのだけれど、僕は鉄道路線の末端に位置するターミナル駅に惹かれるので、この谷地頭停留場も気になっていたのだ。
運転席のすぐ脇に陣取り、レールの先を見つめる。複線だった線路が単線に合流するやいなや線路は終わっていた。そこが谷地頭停留場だった。線路が終わるのを知らせるのは、線路の端に小さく立てられた赤字に白いバツ印が書かれたシンプルなものだけ。長々と続いてきた線路の末期にしてはあっけない。まるで鉄道模型の終点のようだ。僕がターミナル駅に惹かれるのは、どこまでも続くと思っていたものが、あっさり最後を迎えてしまう場面がからのような気がした。
2022年9月 北海道 乗り物 | |
函館 鏡 線路 駅 トラム |
No
12368
撮影年月
2022年6月
投稿日
2022年09月09日
更新日
2023年08月10日
撮影場所
函館 / 北海道
ジャンル
鉄道写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35