世界中が新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われてしまい、海外旅行はもちろん国内旅行にさえ行くのがままならない状況が続いている。そのような状況の中、僕は千駄ヶ谷にある鳩森八幡神社の鳥居前に佇んでいた。
鳥居の貫からぶら下がる4つの紙垂を眺めながら、僕は遠くサーンチーに思いを馳せていた。サーンチーとは世界遺産にも登録されているインドのマディヤ・プラデーシュ州にある大乗仏教の遺跡で、そこにはインド最初の統一国家であるマウリヤ朝の最盛期を築いたアショーカ王が紀元前3世紀頃に築いた仏塔が今でも残っているのだ。
古い仏塔や立派な仏塔というだけならば、他の場所にもあると思う。その中でサーンチーの遺跡が異彩を放っているのは、仏塔の東西南北に美しいトーラナという門も残っている点だ。諸説あるものの、このトーラナが日本の鳥居のルーツとする学説もある興味深い建造物だ。
サーンチーのトーラナを見てみると、日本で見かける鳥居とはだいぶ様子が異なっている。神明鳥居であっても、明神鳥居であっても鳥居がとてもシンプルな造りになっているのに対して、トーラナには精巧な彫刻が施されているものが多い。サーンチーのトーラナにも都市や村落、建築の姿、礼拝の場面や仏伝図などを表した彫刻がゴチャゴチャと施されているのだと言う。騒がしくて楽しそうな門になっているのだ。是非ともこの目で見てみたい。サーンチーは僕にとって長年行ってみたい思っている場所のひとつだ。
2021年5月 建築 東京 | |
千駄ヶ谷 神社 鳥居 |
No
11905
撮影年月
2020年6月
投稿日
2021年05月13日
更新日
2023年08月22日
撮影場所
千駄ヶ谷 / 東京
ジャンル
建築写真
カメラ
RICOH GR III