鎌倉にある鶴岡八幡宮へ向かって伸びる若宮大路の中で、二の鳥居から三の鳥居まで続く車道より一段高い参道を段葛と呼ぶ。古都にあるものだから中世の昔から今と同じものがあったように思ってしまうけれど、それは錯覚だ。近世になってから幾度も作り直された段葛が現在の形になったのは、2014年に改修工事が行われた結果だ。確かに明治時代に撮影された若宮大路の写真を見てみると、当時の段葛は今の段葛とはかなり違う。路面は舗装されていないし、桜も植えられていない。
そもそも現在の段葛は二の鳥居のあるところから始まっているけれど、かつては一の鳥居のあるところから始まっていたという。一の鳥居から二の鳥居の部分は横須賀線の建設のために撤去されてしまったのだ。左右が土手だった段葛が石積みになったのは1961年から1962年にかけてのことで、桜が植えられたのは1917年のこと。写真の三の鳥居も関東大震災で1668年に徳川四代将軍家綱から寄進された石造の鳥居が倒れてしまったので、その後に再建されたコンクリート製の鳥居だ。このように昔からあるものでも、昔から同じ形で存在し続けたわけではなく、実は地味にバージョンアップをし続けている場合もあるのだ。
2024年8月 建築 神奈川 | |
青空 雲 鎌倉 影 神社 シルエット 鳥居 |
No
12623
撮影年月
2024年1月
投稿日
2024年08月04日
撮影場所
鎌倉 / 神奈川
ジャンル
建築写真
カメラ
IPHONE 14 PRO