かなり都心にあって、すぐ脇を交通量の多い山手通りが走っているにもかかわらず代々木八幡宮の境内は静寂に包まれている。地図で見るとこの神社の境内だけがこんもりと木々に覆われている。静かなだけでなく、境内を歩いていると空気も澄んでいるような気がする気持ちのいい場所だ。
大昔の人も僕と同じように感じたようで、境内からは縄文時代の住居跡が発見されている。現代と違って、家を建てていい場所なんてそこかしこにあっただろうにこの場所を選んだというのは、ここがいい気持ちのする場所だったからに違いない。
空気が済んでいて気持ちのいい場所ということだけだと、縄文時代の住居と1200年代に建てられた神社との間に関係性を見出すのは難しい。しかし中沢新一によると、一見単なる偶然に過ぎない住居の遺跡と八幡神社との間には繋がりがあるのだという。
縄文時代から人びとに神聖とされていた場所が時代を下るにつれ神社に昇格していて、このタイプの神社が東京では八幡として祀られていることが多いというのだ。確かにこの神社も八幡さまを祀った神社だ。なんでも八幡三神として祀られることの多い神功皇后と仲哀天皇、そして応神天皇という親子三人のセットが縄文時代の神様の構造とそっくりなのだそうだ。その説が本当だとすると、この境内は縄文時代から神聖な場所であり続けているということになる。記録として残っているわけではないものの、数千年もの間、人びとから敬われている場所に自分も立っていると考えたら、ちょっと素敵ではないだろうか。
もっとも僕にはその真偽はわからない。けれど大きな鳥居を抜けて鬱蒼とした木々の中を社殿に向かって歩いて行くと清々しい気分になったのは本当だ。
2022年8月 町角 東京 | |
参道 神社 鳥居 傘 代々木 |
No
12345
撮影年月
2022年5月
投稿日
2022年08月08日
更新日
2023年08月11日
撮影場所
代々木 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85