東京23区でもっとも標高の高い天然の山は愛宕神社の鎮座する愛宕山だけれど、参拝するときに山に登っていると認識している人は少ないだろう。無意識に登らされる山、すなわちステルス・マウンテンだ。意外なことに東京の都心には愛宕山と同じように標高が50m未満の低山が100以上も存在している。
低山のほとんどは江戸時代に盛んだった富士山信仰で作られた富士塚だ。信仰の対象である富士山に登るのは、江戸時代の人にとっては今と比べ物にならないほど大変なものだった。そのため、実際の富士山に登らなくとも同じご利益を得られるように、家の近所に富士山を模した塚が造られた。歌川広重の浮世絵にも本物の富士山とともに、築山された富士塚が描かれていたりする。その富士塚があちこちに残っているのだ。
ちなみにもっとも標高の低い天然の山は浅草にある待乳山だそうだ。標高はわずか9.9m。実際に待乳山にある待乳山聖天を訪れたことがあるけれど、そこが山だとは認識できなかった。富士塚の中には、15mくらいの高さのあるものもあるというから、待乳山より標高が高いことになる。山という言葉の定義を考えさせられてしまう。
2023年9月 町角 東京 | |
愛宕 神社 階段 鳥居 参拝客 |
No
12529
撮影年月
2023年4月
投稿日
2023年09月30日
撮影場所
愛宕 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85