頭では神社に立っている鳥居が神域の入り口を示していることを理解していても、実際に五感で感じることはあまりない。特に都会に鎮座する神社ではそうだ。靖国神社の大きな鳥居は、くぐる時に圧倒されるものの神域に入域するという改まった気分には浸らないし、明治神宮の鳥居も入り口ではあることがわかるのだけれど、神域に入域するという気分にならない。なぜだろう。あまりにも大勢の人が鳥居の下を行き来していて、スペシャル感が感じられないからだろうか。
そういう意味では、この日にやって来た東京の岡本にある岡本八幡神社に立つ鳥居は雰囲気満点で神域への入り口であることを十分に感じさせる。小高い丘の上に鎮座する社殿に続く階段の下に立つ鳥居は、自己主張することなく静かに立っていて、ここからは社殿の姿はおろか、木々に覆われていて参道の階段さえもよく見えない。この先に人知を超えたものがいることをただ匂わせているのだ。その佇まいにほだされて、行く予定もなかったのに鳥居をくぐって階段をのぼり社殿にお参りしてしまうくらい趣のある鳥居だった。
2023年12月 建築 東京 | |
岡本 神社 階段 鳥居 |
No
12550
撮影年月
2023年6月
投稿日
2023年12月30日
撮影場所
岡本 / 東京
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF