蒸気機関が発明されるまで、海を航行するのはすべて帆船だった。ガレー船のように船の両脇から何本ものオールが出ていて人力で航行できるのもあるにはあったにせよ、基本的には風がないと船は進まない。風がなければ人間にはどうしようもない時代が長く、順風が吹くまで港でじっと待つ、風待をする習慣もあったくらいだ。
だからだろうか、日本有数の漁港のある銚子の銚港神社の御祭神にシナツヒコという風の神様も祀られていた。シナツヒコは古事記と日本書紀に出てくる神様だけれど、風を司る神様を崇める風習は世界各地にある。中国には飛廉や箕伯という風を司る神様がいるし、インドではヴァーユとかルドラとかがそうだし、メソポタミアにもエンリルという神様がいる。
面白いのは、ひと口に風を司る神様と言っても、その性格は同じではないということ。最高権力者で暴風をもたらすエンリルのような神様もいれば、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」に描かれた春の訪れを告げる豊穣の風ゼピュロスもいる。では日本古来のシナツヒコはどのような神なのかと思いきや、元寇の際に神風を吹かせた神様らしい。暴風をもたらす神様だけれども、日本のことはそれほど嫌いではない神様のようだ。
2022年7月 建築 千葉 | |
銚子 反射 神社 鳥居 |
No
12331
撮影年月
2022年5月
投稿日
2022年07月24日
更新日
2023年08月11日
撮影場所
銚子 / 千葉
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35