調布にある古刹深大寺の見どころは何だろう。かつて寺領だった神代植物公園を挙げるひともいるだろうし、釈迦堂に安置されている国宝の銅造釈迦如来倚像を上げる人もいるだろうし、本堂に安置されている宝冠阿弥陀如来像の霊験のあらたかさを挙げる人もいるだろう。食い意地の張った人であれば、名物である深大寺そばだという人もいるかもしれない。
そのような中、個人的に一番心を惹かれたのは小さな山門だった。浅草寺に雷門という立派な山門が、京都にある大徳寺に金毛閣と呼ばれる重要文化財にも指定されている門があるように、名刹には大きな山門があって金剛力士像が鎮座していることが多い。けれど深大寺の山門はそのような格式張ったものとは一線を画す質素な門だ。目を瞠るような大きいものではなく、茅葺屋根の上に雑草が生えている。屋根の上だけを見たら、廃屋なのではないかと思ってしまうような代物だ。でもそれが良い。
隙がないくらい手入れが行き届いているものよりも、このようにあるがままにされている方が個人的には好感が持てる。それに法爾自然という仏教用語にぴったりだと思うのだ。もっとも山門は深大寺の建造物で最古のもの。あるがままにされているように見えても、実はしっかり管理されているのだろうけれど。
2022年8月 建築 東京 | |
調布 門 屋根 寺院 |
No
12339
撮影年月
2022年5月
投稿日
2022年08月02日
更新日
2023年08月19日
撮影場所
調布 / 東京
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35