住宅街の静かな通りに、突然ぽつんと寺院が姿を現した。それは媽祖樓天后宮という寺院だった。周囲の住宅の中でひときわ目立つ存在感を放っている。とはいえ、訪れた時には参拝客の姿は見当たらず、静寂が漂っている。そんなひっそりとした雰囲気とは裏腹に、この寺院はかなりの歴史を持っているらしい。創建は1755年にまで遡るという。確かに、寺院をよく観察してみると、柱や屋根の装飾には相当な費用がかけられていることが伺えた。
特に目を引いたのは、その屋根だった。目を上げると、屋根の上には数えきれないほどの彫像が並んでいるのが見えた。この辺りの寺院では屋根に龍がいるのは珍しくない。でも、この寺院の屋根はそれだけに留まらない。龍の横には、猿や象、さらには人間の彫像までもが混ざり合っていて、実に賑やかだ。その多彩さは、まるでこの寺院そのものが物語を紡ぎ出しているかのようだった。
一つひとつの彫像が持つ表情や動きには、職人の手仕事の丁寧さが感じられる。歴史ある寺院の屋根の上で、これらの彫像たちは長い間、この場所を見守ってきたのだろう。住宅街の中にひっそりと佇む寺院の静けさと、その屋根の賑やかさが対照的で、不思議な魅力を醸し出していた。
2017年3月 建築 台湾 | |
ファサード 屋根 像 台南 寺院 |
No
10057
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年03月02日
更新日
2025年01月23日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
EF85MM F1.2L II USM