古典落語に芝浜という演目がある。裏長屋に住む棒手振りの魚屋が主人公の人情噺だ。その中で主人公の魚屋は芝にある魚市場で仕入れる設定になっているのだけれど、芝に魚市場なんてものは見当たらない。作り話なのだから魚市場自体がフィクションなのかと思いきや、そうではなかった。かつて芝には雑魚場と呼ばれる魚市場が存在していたのだ。
田町駅のすぐ近くのJR線路脇にある本芝公園に、かつてそこに雑魚場と呼ばれた魚市場があった案内板が立っている。今となってはどこにも海の気配はなく、時折モノレールが走り抜けていくこの場所はその昔、海岸線だったところ。付近の陸側が芝浜、海上が芝浦と呼ばれていて、雑魚場では近海の芝浦で捕れた魚の商いが行われていたという。
江戸時代には荷揚げされた魚が将軍家にも上納されたりして賑わった雑魚場も、明治維新後には埋め立てと都市化に伴い衰退してしまい、1962年には漁業権を放棄し完全に消滅してしまった。今では高層ビルと線路に囲まれた細長い公園に魚市場があったなんて知らない人も多いに違いない。
2023年1月 東京 乗り物 | |
雲 芝浦 列車 |
No
12424
撮影年月
2022年10月
投稿日
2023年01月06日
更新日
2023年08月10日
撮影場所
芝浦 / 東京
ジャンル
鉄道写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF