江戸時代には大勢の信仰を集めた富士信仰も、今となっては過去の遺物に近いものがある。かつては江戸のあちらこちらに造られた富士山を模した富士塚もあまり残っていないし、残っていたとしても信仰のためにそれに登る人はいない。富士山に登りたければ、本物の富士山に登りに行くのが一般的だ。
では富士信仰の場である浅間神社は信仰の場でなくなってしまうのかというとそんなことはなく、木花咲耶姫命を御祭神とする神社として残っている。木花咲耶姫命は富士の山神とも想定されているので、富士信仰がちょっと形を変えて残っているわけだ。
家庭円満・安産・子安のご利益があるとされる木花咲耶姫命をお参し終えると、僕は境内の横にある大きな舞台の上にやって来た。この神社には多摩川に迫り出すようにして舞台が設けられていて見晴らしが良いのだ。
僕が舞台にやって来たとき、舞台の上は空いていたものの、先客の姿があった。傘を差した女性はフェンス際に立ち止まって、じっと武蔵小杉の方向を眺めていた。僕と同じように、遠くに林立するタワーマンションの姿に圧倒されていたのかもしれない。
2021年11月 人びと 東京 | |
バック・ショット 雲 田園調布 空 傘 |
No
12090
撮影年月
2021年7月
投稿日
2021年11月14日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
田園調布 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF