七尾は桃山時代を代表する画人である長谷川等伯の生まれ故郷だ。ここで生まれた長谷川等伯は1571年頃に上洛し狩野派など諸派の画風を学んだ後、千利休や豊臣秀吉らに重用されるほどまで画壇を上り詰めた絵師だ。
この地から後世まで名を轟かすような著名な絵師が生まれたのは、ここ七尾が小京都と呼ばれるほど栄えていたのと無関係ではない。直接的に食物を生産するわけではないアーティストを社会が包容していくには、その非生産者も食べていけるだけの富が社会に蓄積されていなければならないからだ。七尾にはそれだけの富があったということ。実際、七尾時代の等伯の作品には都でもあまり見られないほど良質の顔料が使われているのだという。
七尾の富の源泉は海運だった。七尾の港は能登半島のほぼ中央に位置し、古くから天然の良港として栄えていたところ。北前船の時代になると、その寄港地として隆盛を極めたようだ。そうして蓄積した富が長谷川等伯を生む素地になったのだろう。
やって来た七尾港にはどこにも忙しさはなく、のどかな空気が漂っているだけだった。正直なところ、今となってはここで日々富が蓄積されていく様子は想像するしか無い。空を見上げると、鳶が優雅に空を舞っていた。
2021年10月 石川 自然 | |
鳥 青空 雲 七尾 |
No
12076
撮影年月
2021年6月
投稿日
2021年10月31日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
七尾 / 石川
ジャンル
自然写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF